SATIAN/39番外編 - 主にしょうもない話し -

日常であったしょうもない出来事やたまに宣伝

所謂心霊写真が撮れた時のおはなし

とある心霊スポットとして有名な廃墟があった。

当時広告業界で恐ろしくブラックな労働をしていた私は、深夜のハイテンションで仕事後そのまま友人と朝まで遊び通している事が多かった。なんなら平日週5全て飲み歩いている事も多かったし何だか家に帰る事が怖くて帰っていなかった。現実に向き合う事が怖かった。働きすぎていたのとプライベートもボロボロなのとで自律神経も精神も何もかもおかしくなっている時期だった。

 

 

その日は仕事の後友人の働く北千住で飯を食べていた。
酒も入り何故かそのまま心霊スポットへ行こう!という事になり友人と地獄巡りのドライブへ突入していった。

向かう先は北関東某所。ド平日の真夜中に心霊スポット。

まず赴いたのは元々帝国海軍航空隊の施設だった場所。
敷地内の元々滑走路だったろいう真っ直ぐな道を歩いていると雨が降ってきた。

辺りが真っ暗で懐中電灯も貧弱なものしか持っていなかった為目的の建物を見つける事が出来ず早々と撤収した。

 

そのまま悪ノリして2つ目の物件へ。
室内に遺影が残っている事で有名な心霊スポットだった。道に迷いつつも何とか到着。
斜めに傾き今にも崩れそうな廃屋は、畑のど真ん中にドンと鎮座する奇妙な立地だった。

崩れた屋根、剥がれ落ちた壁、粗大ゴミ、その他様々なゴミ。こういった廃屋を見るのは初めてだった。
入り口は木の板が打ち付けられ封鎖されていた。荒らした奴が沢山いたからなんだろうか。生活の痕跡がそのまま残り、人間だけが突然消えてしまったような生々しい廃屋…遺影がそのまま残されていたが侵入者が隠したとか隠してないとかで行方不明になったとか。

「とりあえず写真だけ撮っておく?」窓越しに内部の写真を何枚か撮影し、撤退。

 

雨脚も強くなり、仕方がないのでそのまま真夜中のファミレスで反省会。牡蠣が美味しかった記憶がある。

早速廃屋で撮った写真を確認すると。

…?
不自然な写真が撮れていた。

廃屋の外。「この変な光なんだろうね。こんなの撮れた事ないや」「俺もこんなの見た事ない…」
別の写真を見てみる。窓越しに撮影した廃屋の内部。
「これ…顔だよね…」

無数の顔がそこには写っていた。

余りにも恐ろしい写真であった事には間違いないが、能天気な我々はその後グダグダとクソみたいな雑談に花を咲かせ数時間帰路についた。車の中では爆睡し気が付いたら家の前に到着していた。

 

その後我々は面白半分でSNSにその写真を載せた。凄いの撮れたぞ!と。

しかし。

「その写真マジでやばいよ」

「俺心霊とか信じないけどその写真はなんかヤバイと思う」

「なにこれ除霊した方いいんじゃない!?」

などと多くのコメントが並んだが、どうやら様子がおかしい。

普段こういった事で騒がないような友人たちが次々と反応するどころか、数年ぶりに電話をよこす友人などもいたのだ。

「ねぇ、あれ消した方よくない?私霊感ないからよく分からないんだけど、でもなんかまずい気がするの!」

とか

「俺も霊感ないからアレだけど、俺の直感が全身全霊でヤバイと言っている、写真を見てると寒気が止まらないんだよ。S君も見ててヤバイって言ってる、悪い事は言わないから何か起きる前に消した方がいい」

……

マジか。

友人たちから次々かかってくる電話を受けている時、私は秋葉原で呑気にカレーを食べていた。

なんかヤバイ事になってる…?

自分の投稿したSNSの内容を確認すると。

「…」

写真に写っている顔が増えていた。明らかに、ファミレスで確認した時よりも数が多い。

ヤバイ。これはヤバイ。なんで増えているんだ。

 

原因を究明する為家に戻り今一度PCで確認しようと、帰宅後即見始めたら…

パシッ!パシッ!

定規で壁を叩くような音がした。

そして机の下と、トタトタというようなコロコロというような、なんとも擬音にしがたい音を出しながら走り去る発光体が見えた。

いや、本当おかしな話しなのだが、まるでたんぽぽの綿毛を大きくしたような白い発光体から脚が二本にゅっと生えた物体が走り去って行ったのだ。

 

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こんな感じの毛ボンボンが。いやほんとに。滅茶苦茶ビックリした。背筋がぞわ〜〜〜〜っとした。

写真を見る所の騒ぎじゃなくなりSNSの投稿は削除、友人にも削除を促し写真のデータも完全に削除した。

オチはこれと言って特にないのだが、心霊写真が撮れちゃうとこんな怖い事もあるのだな、という学びを得た出来事であった。